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『国貞えがく』
青空文庫
「ええ。」と言った女房の顔色の寂しいので、烏ばかり鳴くのが分る。が、別に織次は噂をされようとも思わなかった。
平吉は畳み掛け、
「牛は牛づれとか言うんでえしょう。手前が何しますにつけて、これもまた、学校に縁遠い方だったものでえすから、暑さ寒さの御見舞だけと申すのが、書けないものには、飛んだどうも、実印を捺《お》しますより、事も大層になります処から、何とも申訳がございやせん。
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