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 『日本橋』 青空文庫

「三枝、五枝、裏掻いてその繁茂が透くに連れて、段々、欄干の女の胸が出て、帯が出て、寝着姿が見えて、頬が見えて、鼻筋の通る、瞳が澄んで、眉が、はっきりとなる。縺毛がはらはらとかかって島田髷が見えた。
 川のが少し渺として、月が出たのか、日が白いのか、夜だか昼だか分らない。……間がおよそどのくらいか知れないまで遠くなる、とその一段高い女の背後に、すっくと立った、大な影法師が出た。一段高いのに、突立ったから胸から上は隠れたが、人とも獣とも、大な熊が蔽われかかるように見えたんだがね。」

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