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『薬草取』
青空文庫
やがて医者《せんせい》が袴《はかま》の裾《すそ》を、ずるずるとやって駈け込んだ。私には戸外《おもて》へ出て遊んで来いと、乳母が言ったもんだから、庭から出たです。今も忘れない。何とも言いようのない、悲しい心細い思いがしましたな。」
花売《はなうり》は声細く、
「御道理《ごもっとも》でございますねえ。そして母様《おっかさん》はその後《のち》快《よ》くおなりなさいましたの。」
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