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『草迷宮』
鏡花とアンティークと古書の小径
「おお、悪……魔、人間を呪うものか。」
「否《いや》、人間をよけて通るものじゃ。清き光天にあり。夜鴉の羽うらも輝き、瀬の鮎の鱗も光る。隈なき月を見るにさえ、捨小舟の中にもせず、峰の堂の縁でもせぬ。夜半人跡の絶えたる処は、かえって茅屋の屋根ではないか。
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