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 『化鳥』 青空文庫

朝晩見馴《みな》れて珍《めづ》らしくもない猿だけれど、いまこんなこと考え出していろんなこと思つて見ると、また殊にものなつかしい、あのおかしな顔早《はや》くいつて見たいなと、さう思つて、窓に手をついてのびあがつて、づゝと肩まで出すと〓《しぶき》がかゝつて、眼のふちがひやりとして、冷《つめ》たい風が頬《ほゝ》を撫でた。
爾時仮橋ががた/\いつて、川面《かはづら》の小糠雨《こぬかあめ》を掬《すく》ふやうに吹き乱《みだ》すと、流《ながれ》が黒くなつて颯《さつ》と出た。トいつしよに向岸《むかふぎし》から橋を渡つて来る、洋服を着た男がある。

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