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『日本橋』 青空文庫
「いや、もう、人様の事をお案じ申すという効性もござりません。……お助けを被りました御礼を先へ申さねばなりませんのでござりました。はい、先刻は何とも早や、お庇で助かりました。とんと生命拾いでござります。それにまた、お情深い貴女様、種々と若衆たちまで、お優しいお心附を下さいまして、お礼の申上げようもござりません。」
「ああ、植木屋さん。」
と云う……人を見た声も様子も、通りがかりに、その何となく悄れたのを見て、下に水ある橋の夜更、と爺が案じたほどのものではない。
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