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 『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径

 「此処は、此処は、此処は、冥土か。」
 と目ばかり働く、そのを見て、でっぷりとした頬に笑を湛え、くつくつ忍笑いして、
 「いや、別条はない。が、丁《ちょう》どこの少年の、乃《いま》し魘《うな》された時、客僧、何と、胸が痛かったろう。」

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