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 『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径

 「別でない。それそれその戸袋に載った朱泥の水差、それに汲んだは井戸の水じゃが、久しい埋井《うもれい》じゃに因って、水の色が真蒼じゃ、まるで透通る草の汁よ。
 客僧らが茶を参った、爺《じじい》が汲んで来た、あれは川水。その白濁《しろにごり》がまだしも、と他の者はそれを用いる、がこの少年は、前《さき》に猫の骸の流れたのを見たために、得飲まずしてこの井戸のを仰ぐ。

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