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 『二、三羽――十二、三羽』 青空文庫

 かさねてと思う、日をかさねて一月《ひとつき》にたらず、九月一日のあの大地震であった。
 「雀たちは……雀たちは……」
 火を避けて野宿しつつ、炎の中に飛ぶ炎の、小鳥の形を、真夜半《まよなか》かけて案じたが、家に帰ると、転げ落ちたまま底に水を残して、南天の根に、ひびも入らずに残った手水鉢《ちょうずばち》のふちに、一羽、ちょんと伝っていて、顔を見て、チイと鳴いた。

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