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 『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径

 「叱言をいって留めましたか。さすがは船頭、字で書いても船の頭だね。」
 と真で法師の言うのを聞いて、姥は、いかさまな、その年少《としわか》で、出家でもしそうな人、とさも憐んだ趣で、
 「まあ、お人の好い。なるほど船頭を字に書けば、船の頭でござりましょ。そりゃもう船の頭だけに、極り処は丁《ちゃん》と極って、間違いのない事をいたしました。」

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