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『義血侠血』 青空文庫
「皆さん、なんと思し召す? こりゃ尋常事《ただごと》じゃありませんぜ。ばかを見たのはわれわれですよ。全く駈け落ちですな。どうもあの女がさ、尋常《ただ》の鼠じゃあんめえと睨んでおきましたが、こりゃあまさにそうだった。しかしいい女だ」
「私は急ぎの用を抱えている身《からだ》だから、こうして安閑としてはいられない。なんとこの小僧に頼んで、一匹の馬で遣ってもらおうじゃございませんか。ばかばかしい、銭を出して、あの醜態《ざま》を見せられて、置き去りを吃《く》うやつもないものだ」
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