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 『夜行巡査』 青空文庫

「お香、こうは謂うもののな、おれはおまえが憎かあない、んだ母親にそっくりでかわいくってならないのだ。憎いやつなら何もおれが仕返しをする価値《ねうち》はないのよ。だからな、食うことも衣《き》ることも、なんでもおまえの好きなとおり、おりゃ衣ないでもおまえには衣せる。わがままいっぱいさしてやるが、ただあればかりはどんなにしても許さんのだからそう思え。おれももう取る年だし、んだあとでと思うであろうが、そううまくはさせやあしない、おれがぬときはきさまもいっしょだ」

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