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『日本橋』 青空文庫
亡くなった姉に、生命がけの情人が有って、火水の中でも添わねばならない、けれど、借金のために身抜けが出来ず――以前|盗人が居直って、白刃を胸へ突きつけた時、小夜着を被せて私を庇って、びくともしなかった姉さんが、義理に堰かれて逢うことさえ出来ない辛さに、私を抱いてほろほろ泣く。
出生は私、東京でも、静岡で七つまで育ったから、田舎ものと言われようけれど……その姉さんを持ったお庇に、意地も、張も、達引も、私は習って知っている。
その時に覚悟をして、可厭で可厭でならなかった、旦那の自由になったんです。またそうして、後々までも引受ければ、養母が承知をして、姉を手放してくれたんですもの。……
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