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 『婦系図』 青空文庫

「さほどの鈍的《とんちき》でもなかったが、天罰よ。先生の目を眩《くら》まして、売婦《ばいた》なんぞ引摺込む罰が当って、魔が魅《さ》したんだ。
 嫁入前の大事な娘だ、そんな狐の憑いた口で、向後《こうご》妙の名も言うな。
 生意気に道学者に難癖なんぞ着けやあがって、汝《てめえ》の面当《つらあて》にも、娘は河野英吉にたたッ呉れるからそう思え。」

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