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 『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径

 と、しどろになって会釈すると、面を上げた寂しい頬に、唇紅う莞爾して、
 「前刻《さっき》、憚《はばかり》へ行らっしゃいます、廊下でお目に懸りましたよ。」
 客僧も、今はなかなかに胴据りぬ。

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