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『日本橋』
青空文庫
「心に思う万分一、その一言は云わないでも、姉の身ぬけにこうこうと、今云った義理だけは、私はその人に言いたかった、言いたかったんです。」
と思わず縋って泣くように、声が迫って、
「ですけれど、他人は知らず、私たち、そうした人に、この事を打明けては、死んだ姉に恩を被せる、と乗ってる蓮の台が裂ける……姉は私に泣いてましょう、泣いてくれるのは嬉しいけれど、気の毒がられては、私は済まない。
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