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 『春昼』 泉鏡花を読む

 鳥打に手をかけて、
「つかんことを聞くがね、お前さんは何ぢやないかい、此の、其処の角屋敷の内の人ぢやないかい。」
 親仁はのそりと向直つて、皺だらけの顔に一杯の日当り、桃の花に影がさした其の色に対して、打向ふ其方の屋根の甍は、白昼青麦を〓《あぶ》る空に高い。

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