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『海神別荘』 華・成田屋
僧都 ――袖に氷を結びけり。涙などと、歎き悲しんだようにござります。
公子 それは、その引廻しを見る、見物の心ではないのか。私には分らん。(頭(かぶり)を掉る。)博士――まだ他に例があるのですか。
博士 (朗読す)・・・世の哀(あわれ)とぞなりにける。今日は神田のくずれ橋に恥をさらし、または四谷、芝、浅草、日本橋に人こぞりて、見るに惜まぬななし。これを思うに、かりにも人は悪き事をせまじきものなり。天これを許したまわぬなり。・・・
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