検索結果詳細


 『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径

 こうまで、お憧《こが》れなさるもの、一寸一目お目にかかって、お聞かせ申とうござんすけれど、今顔をお見せ申しますと、お慕いなさいます御心から、前後も忘れて夢見るように、袖に搦んで手に縋り、胸に額を押当てて、母よ、姉よ、とおっしゃいますもの。
 どうして貴僧《あなた》、摺抜けられよう、突離されよう、振切られましょう、私は引寄せます、抱緊《だきし》めます。
 と血を分けぬ、男と女は、天にも地にも許さぬ掟。

 1413/1510 1414/1510 1415/1510


  [Index]