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 『縁結び』 青空文庫

 しかしどっちにしろ、顔容《かおかたち》は判然《はっきり》今も覚えている。一日《あるひ》、その母親の手から、娘《むすめ》が、お前さんに、と云って、縮緬《ちりめん》の寄切《よせぎれ》で拵《こしら》えた、迷子札《まいごふだ》につける腰巾着《こしぎんちゃく》を一個《ひとつ》くれたんです。そのとき格子戸の傍《わき》の、出窓の簾《すだれ》の中に、ほの白いものが見えたよ。《べに》の色も。

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