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 『歌行燈』 従吾所好

 と釜の湯気の白けた処へ、星の凍てさうな按摩の笛。月天心の冬の町に、恰もこれ凩を吹込む声す。
 門附の兄哥は、ふと痩せた肩を抱いて、
「あゝ、霜に響く。」……と言つた声が、物語を読むやうに、朗に冴えて、且つ、鋭く聞えた。

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