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 『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径

 さあ、この事が世に聞えて、ぱっと風説《うわさ》の立ますため、病人は心が引立ち、気の狂ったのも安心して治りますが、免れられぬ因縁で、その令室《おくがた》の夫というが、旅行《たび》さきの海から帰って、その風聞を耳にしますと――これが世にも恐ろしい、嫉妬深い男でござんす。――
 その変化沙汰のある間、其処に籠った、という旅の少年。……
 この明さんと、御自分の令室《おくがた》が、的切《てっきり》不義に極った、と最早その時は言訳立たず。鶴谷の本宅から買い受けて、そしてこの空邸へ、その令室《おくがた》をとじ籠めましょう。

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