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 『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径

 そうなる時には、令室《おくがた》の、恋の染まった霊魂《たましい》が、五色かがりの手毬となって、霞川に流れもしよう。明さんが、思いの丈を吐く息は、冷たき煙と立のぼって、中空の月も隠れましょう。二人の情の火が重り、き炎の花となって、襖障子も燃えましょう。日、月でもなし、星でもなし、灯でもない明《あかり》に、やがて顔を合わせましょう。

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