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 『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径

 座敷の暗《やみ》から不意にそれを。明さんは、手を取合ったは仇し婦《おんな》、と気が着くと、襖も壁も、大蓮。跪居《ついい》る畳は針の筵。袖には蛇《くちなわ》、膝には蜥蜴、目《ま》の前《あたり》見る地獄の状《さま》に、五体は忽ち氷となって、慄然《ぞっ》として身を退《ひ》きましょう。が、もうその時は婦人《おんな》の一念、大鉄槌で砕かれても、引寄せた手を離しましょうか。

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