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 『古狢』 青空文庫

 ――今年余寒の頃、雪の中を、里見、志賀の両氏が旅して、新潟の鍋茶屋《なべぢゃや》などと併《なら》び称せらるる、この土地、第一流の割烹《かっぽう》で一酌し、場所をかえて、人に接した。その人たちが、河上の、うぐい亭へお立寄り遊ばしたか、と聞いて、その方が、なお、お土産になりますのに、と言ったそうである。うぐい亭の存在を云爾《しかいう》ために、両家《か》の名を煩わしたに過ぎない。両家はこの篇には、勿論、外套氏と寸毫《すんごう》のかかわりもない。続いて、仙女香、江戸の水のひそみに傚《なら》って、私が広告を頼まれたのでない事も断っておきたい。

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