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『縁結び』
青空文庫
「まあ……」
とはかなそうに、お君の
顔
色が寂《さび》しかった。
「迷子札は、金《かね》だから残ったがね、その火事で、向うの家《うち》も焼けたんだ。今度通ってみたが、町はもう昔の俤もない。煉瓦造《れんがづく》りなんぞ建って開けたようだけれど、大きな樹がなくなって、山がすぐ露出《むきだ》しに見えるから、かえって田舎《いなか》になった気がする、富士の裾野《すその》に煙突《えんとつ》があるように。
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