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 『婦系図』 青空文庫

 川千鳥がそこまで通って、チリチリ、と音《ね》が留まった。杯洗《はいせん》、鉢肴《はちさかな》などを、ちょこちょこ運んで、小ぢんまりと綺麗に並べる中《うち》も、姉さんは、ただ火鉢をちっとずらしたばかり、悄《しお》れて俯向いて、ならば直ぐに、頭《つむり》が打つのを圧えたそうに、火箸に置く手の々と、けた容子を、立際に打傾《うちかし》いで、熟《じっ》と見て出ようとする時、

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