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 『婦系図』 青空文庫

 唯今の注進に、ソレと急いで、銅壺《どうこ》の燗を引抜いて、長火鉢の前を衝《つ》と立ち状《ざま》に来た。
 前垂掛けとはがらりと変って、鉄お納戸地に、の角通《かくとお》しの縮緬、かわり色の裳《もすそ》を払って、上下《うえした》対の袷の襲《かさね》、黒繻珍《くろしゅちん》に金茶で菖蒲《あやめ》を織出した丸帯、緋綸子《ひりんず》の長襦袢、冷く絡んだ雪の腕《かいな》で、猶予《ため》らう色なく、持って来た銚子を向けつつ、

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