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 『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径

 美しき夢見るお方、」
 あれ、彼処に君在《まし》ますぞや。愛惜《あいじゃく》の一念のみは、魔界の塵にも曇りはせねば、我が袖、鏡と御覧ぜよ。今、この瞳に宿れる雫は、君の御情《おんなさけ》の露を取次ぎ参らする、乳の滴《したたり》ぞ、と袂を傾け、差寄せて、差俯き、はらはらと落涙して、

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