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 『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径

 目を擦《こす》り、目を〓《みは》り、目を拭いいる客僧に立別れて、やがて静々――狗のした腰元が、ばたばたと前《さき》へ立ち、炎燃ゆ、と緋のちらめく袖口で音なく開けた――雨戸に鏤《ちりば》む星の首途。十四日の月の有明に、片頬を見せた風采《とりなり》は、薄雲の下に朝の莟の解けた風情して、うしろ髪、打揺ぎ、一度蚊帳を振返る。

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