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 『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径

 一夏激い暑さに、雲の峰も焼いた霰のように小さく焦げて、ぱちぱちと音がして、火の粉になって覆《こぼ》れそうな日盛《ひざかり》に、これから湧いて出て人間に成ろうと思われる裸体《はだか》の男女が、入交りに波に浮んでいると、赫《かっ》とただ金銀銅鉄、真に溶けた霄《おおぞら》の、何処に亀裂《ひび》が入ったか、破鐘《われがね》のようなる声して、

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