検索結果詳細


 『義血侠血』 青空文庫

 渠は実にすべしと念《おも》いぬ。しだいに風歇《や》み、馬駐《とど》まると覚えて、直ちに昏倒して正気を失いぬ。これ御者が静かに馬より扶《たす》け下ろして、茶店の座敷に舁き入れたりしときなり。渠はこの介抱を主の嫗《おうな》に嘱《たの》みて、その身は息をも継かず再び羸馬《るいば》に策《むちう》ちて、もと来し路を急ぎけり。

 149/706 150/706 151/706


  [Index]