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 『国貞えがく』 青空文庫

 「唯《はい》、もう燗《つ》けてござりえす。」と女房が腰を浮かす、その裾端折で。
 織次は、酔った勢《いきおい》で、とも思う事があったので、黙っていた。
 「ぬたをの……今、私《わっし》が擂鉢に拵えて置いた、あれを、鉢に入れて、小皿を二つ、可いか、手綺麗に装《よそ》わないと食えぬ奴さね。……もう不断、本場で旨いものを食《あが》りつけてるから、田舎料理なんぞお口には合わん、何にも入《い》らない、ああ、入《い》らないとも。」

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