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 『高野聖』 泉鏡花を読む

 此の恐しい山蛭は神代の古から此処に屯をして居て、人の来るのを待ちつけて、永い久しい間に何のくらい何斛かのを吸ふと、其処でこの虫の望が叶ふ。其の時はありつたけの蛭が不残吸つただけの人間のを吐出すと、其がために土がとけて山一ツ一面にと泥との大沼にかはるであらう、其と同時に此処に日の光を遮つて昼もなほ暗い大木が切々に一ツ一ツ蛭になつて了ふのに相違ないと、いや、全くの事で。」

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