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 『天守物語』 泉鏡花を読む

亀姫 上げません。
朱の盤 いや先づ、(手を挙げて制す)おなかがよくてお争ひ、お言葉の花が蝶のやうに飛びまして、おしい事でござる。……さて、此方《こなた》より申す儀ではなけれども、奥方様、此の品ばかりはお可厭《いや》ではござるまい。

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