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『五大力』 従吾所好
「懺悔どころか、迷足りない、……六根大不浄と来て居るからね、深川の横町を行くものが、尾花屋とでも書いてありやしまいし、第一……絵師の提灯を持つは癪だらう。褌と提灯はぶら下げた事はありませんさ、其処を出たんだ。
丁ど五時頃、尤も提灯には早過ぎたが、冬至前は四時に最う戸外〈おもて〉だつて薄暗い。……処へ、其家を出ると間もなく、颯と一降掛りました。
おゝ、雨だ、深川小春で、ほか/\するにも、些と、暖か過ぎた日だつけが、お誂への時雨に成つた。が、其の二三日降続いて、昼頃お天気に成つたばかり、蔭溶けはして居るし……歩行くと日中汗が出たくらゐだもの、傘は持たないが外套なしの足駄穿で居たんだから、気の強さと云つたらない。……
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