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 『天守物語』 泉鏡花を読む

朱の盤 いや先づ、(手を挙げて制す)おなかがよくてお争ひ、お言葉の花が蝶のやうに飛びまして、お美しい事でござる。……さて、此方《こなた》より申す儀ではなけれども、奥方様、此の品ばかりはお可厭《いや》ではござるまい。
  包《つゝみ》を開く、首桶。中より、色き男の生首を出し、もとゞりを掴んで、づうんと据《す》う。
 や、不重宝、途中揺溢《ゆりこぼ》いて、此は汁が出ました。(その首、血だらけ)これ、姥殿、姥殿。

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