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 『婦系図』 青空文庫

 と自分で雨戸を。
「それは不可《いけ》ませんこと。」と縁側に、際立ってはらりと取った、隅田の春の空色の褄。力なき小芳の足は、カラリと庭下駄に音を立てたが、枝折戸のまだ開かぬほど、主税は座をずらして、障子の陰になって、忙《せわし》く巻莨《まきたばこ》を吸うのであった。

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