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『婦系図』 青空文庫
「お互に辛抱するのよう。」と酒気《さかけ》のある派手な声で、主税を送ったのは綱次であった。ト同時に渠は姉さんと、手をしっかりと取り合った。
時に、寂《ひっそ》りした横町の、とある軒燈籠の白い明《あかり》と、板塀の黒い蔭とに挟《はさま》って、平《ひらた》くなっていた、頬被《ほおかむり》をした伝坊が、一人、後先を〓《みまわ》して、密《そっ》と出て、五六歩行過ぎた、早瀬の背後《うしろ》へ、……抜足で急々《つかつか》。
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