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『五大力』 従吾所好
おゝ、雨だ、深川小春で、ほか/\するにも、些と、暖か過ぎた日だつけが、お誂への時雨に成つた。が、其の二三日降続いて、昼頃お天気に成つたばかり、蔭溶けはして居るし……歩行くと日中汗が出たくらゐだもの、傘は持たないが外套なしの足駄穿で居たんだから、気の強さと云つたらない。……
がら/\と……鳴つて、背後で格子戸が開いたと思ふと、悪くお屋敷風に、襟なしで白粉を塗つた、右の絵師が許の飯炊が、傘を持つて駈出した。私に貸さうと云ふ腹さ。
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