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 『貝の穴に河童の居る事』 青空文庫

 真暗《まっくら》な杉に籠《こも》って、長い耳の左右に動くのを、黒髪で捌《さば》いた、女顔の木菟《みみずく》の、紅《あか》い嘴《くちばし》で笑うのが、見えるようで凄《すさま》じい。その顔が月に化けたのではない。ごらんなさいましという、言葉が道をつけて、隧道《トンネル》を覗《のぞ》かす状《さま》に、遥《はるか》にその真正面へ、ぱっと電燈の光のやや薄い、桂井館の大式台が顕《あらわ》れた。

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