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 『日本橋』 青空文庫

「御免下さい。」と外套を抱えたまま、ガチリと佩剣の腰を捌いて、框の板に背後むきに、かしッと長靴の腰を掛ける、と帽子を脱いで仰向けにストンと置いて、
「何は、ちょいちょい来らるるかね。」と髯を捻る。
「誰方……でございますか。」

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