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 『木の子説法』 青空文庫

 ハッと思うと、私も、つい、脚を天井に向けました。――その目の前で、
(男は意気地がない、ぐるぐる廻らなくっちゃあ。)
 名工のひき刀が線を青く刻んだ、小さな雪の菩薩《ぼさつ》が一体、くるくると二度、三度、六地蔵のように廻る……濃い睫毛《まつげ》がチチと瞬いて、耳朶《みみたぶ》と、咽喉《のど》に、薄紅梅の血が潮《さ》した。

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