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『貝の穴に河童の居る事』
青空文庫
女中が二人出て送る。その玄関の燈《ともしび》を背に、芝草と、植込の小松の中の敷石を、三人が道なりに少し畝《うね》って伝《つたわ》って、石造《いしづくり》の門にかかげた、石ぼやの門燈に、影を黒く、段を降りて砂道へ出た。が、すぐ町から小半町引込《ひっこ》んだ坂で、一方は畑になり、一方は宿の囲《かこい》の石垣が長く続くばかりで、人通りもなく、そうして仄暗《ほのくら》い。
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