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 『歌行燈』 従吾所好

 成程、此の小父者〈をぢご〉が改札口を出た殿〈しんがり〉で、何をふら/\道草したか、汽車は最〈も〉う遠くの方で、名物焼蛤の白い煙を、夢のやうに月下に吐いて、真蒼な野路を光つて通る。……
「やがて爰〈ここ〉を立出で辿り行くほどに、旅人の唄ふを聞けば、」
 と小父者、出た処で、けろりとして又口誦んで、

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