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 『縁結び』 青空文庫

 何ッて、母親《おふくろ》の懐《ふところ》で寝ながら聞くと、これは笑っているばかり。父親《おやじ》が店から声をかけて、魔物が騒ぐんだ、恐《こわ》いぞ、と云うから、乳へ顔を押着《おッつ》けて息を殺して寝たっけが。
 三晩《みばん》ばかり続いたよ。田地田畠《でんじでんばた》持込《もちこみ》で養子が来たんです。
 その養子というのは、日にやけた色の赤黒い、巌乗《がんじょう》づくりの小造《こづくり》な男だっけ。何だか目の光る、ちときょときょとする、性急《せっかち》な人さ。

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