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『海神別荘』 華・成田屋
公子 博士、ついでに指環を贈ろう。僧都、すぐに出向うて、遠路であるが、途中、早速、硝子(ビイドロ)とその擬い珠を取棄てさして下さい。お老寄(としより)に、御苦労ながら。
僧都 (苦笑す)若様には、新夫人(にいおくさま)の、まだ、海にお馴れなさらず、御到着の遅いばかり気になされて、老人が、ここに形を消せば、瞬く間ものう、お姿見の中の御馬の前に映りまする神通(じんずう)を、お忘れなされて、老寄に苦労などと、侵害な御意を蒙りまするわ。
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