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『義血侠血』
青空文庫
喝采《やんや》の声のうちに渠は徐《しず》かに面を擡《もた》げて、情を含みて浅笑せり。口上は扇を挙げて一咳《いちがい》し、
「東西! お目通りに控えさせましたるは、当座の太夫元滝の白糸に
ござ
りまする。お目見え相済みますれば、さっそくながら本芸に取り掛からせまする。最初腕調《こてしら》べとして御覧に入れまするは、露に蝶の狂いを象《かたど》りまして、(花野の曙)。ありゃ来た、よいよいよいさて」
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