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 『婦系図』 青空文庫

 お妙はツンとして横を向いた、眦《まなじり》に優《やさし》い怒が籠ったのである。
 閑耕は、その背けたを覗込《のぞきこ》むようにして、胸を曲げ、膝を叩きながら、鼻の尖に、へへん、と笑って、
「あんな者と、貴娘交際するなんて、芸者を細君にしていると云うじゃありませんか。汚わしい。怪しからん不行跡です。実に学者の体面を汚すものです。そういう者の許《とこ》へ貴娘出入りをしてはなりません。知らない事はないのでしょう。」

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