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『婦系図』
青空文庫
「あんな者と、貴娘交際するなんて、芸者を細君にしていると云うじゃありませんか。汚わしい。怪しからん不行跡です。実に学者の体面を汚すものです。そういう者の許《とこ》へ貴娘出入りをしてはなりません。知らない事はないのでしょう。」
妙子は何にも言わなかったが、はじめて眩《まぶ》しそうに瞬きした。
小使が来て、低頭して命を聞くと、教頭は頤《あご》で教えて、
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